体外受精のリスクは?成功率は?治療のメリット・デメリットをまとめました!
体外受精はポジティブな治療法!でもリスクは?
こんにちは!ハピコです。
不妊治療の選択肢のひとつ「体外受精」
「そんなの自然じゃないよ」
体外受精を受けようとした時こんな言葉を言われました。
何も知らねえくせに
しゃらくせえ!
なんて思っちゃったけど
これ言った人が主人だったんでね
主人へ説明するためにまずは自分が
体外受精を知らないといけないと思いました。
確かに体外受精について
よくわからない状態だと
- リスクはないのかな?
- 本当に安全?
- 赤ちゃんに影響は?
なんて不安を感じてしまいます。
そこで今日は、体外受精の基礎知識や、メリットデメリット
考えられるリスクについて医師から聞いたことを
まとめていきたいと思います。
体外受精の基礎知識(成功率など)
日本では体外受精を
IVF(In Vitro Fertilization-Embryo Transfer)、
胚移植をET(EmbryoTranssfer)と言います。
不妊治療専門クリニックの名前に
IVFと付いている病院も多いですよね。
このIVFとはどんな治療なのでしょうか?
サクッと見ていきましょう!
体外受精(IVF)は不自然?
1978年イギリスで初めて
体外受精で赤ちゃんが誕生してから、
5年後の1983年、
東北大学が国内初の体外受精に成功しました。
それから約37年。
生殖医療は確実に進歩しています。
体外受精・・・言葉だけ聞くと
とても人工的に聞こえますよね。
でもね、体外受精の工程って
そのほとんどが自然なんです。
体外受精はこんな治療
体外受精は
ママから卵子を採取して
パパの精子も採取して
それを体外で受精させる。
っていうか精子を卵子にふりかけるだけ。
精子は自力で卵子に侵入しなきゃならない。
卵子と精子の出会いをお手伝いすることはできるけど
精子が卵子と受精するかは自然に委ねます。
ほんでもって
その受精卵を培養して(胚)
分割した状態になったら
ママの子宮へ戻す。
これも、成長を見守るだけ。
できることは培養のとき、
体内に近い環境を
整えるだけ。
また、胚を子宮に戻すけど
- 着床するか?
- お腹の中で育つか?
- 無事に出産まで進むか?
は、これまた神のみぞ知る次元。
最新の医療といえど
サポートできるのはほんのちょっとなんです。
体外受精の成功率は?
体外受精の1周期あたりの成功率は
20%〜30%程度と言われています。
平成21年度の日本産婦人科学会のデータによると
移植あたりの妊娠率は19.9%、流産率は25.5%。
でも、この数字。
年齢や採卵回数、精子の状態などによって
かなり変わってきます。
さらに、病院によっても成績は異なります。
私の通う病院では、受精卵を一度凍結させる
凍結胚移植が推奨されてて
その妊娠率は
30〜34歳で52.2%
35〜39歳で42.1%
40〜42歳で26.9%
43歳以上で9.4%
と発表しています。
治療成績に関しては
病院のHPなどでも確認できますし
病院が開く体外受精説明会などでも
教えてもらえます。
で、妊娠率よりも重要なのが
出生率。
不妊治療を受けるのは
妊娠するだけじゃなくて
赤ちゃんを出産するのが目的です。
流産率は
30〜34歳で19%
35〜39歳で29%
40〜42歳で45%
43歳以上で47%
(私が通う病院)
となっていますから、妊娠はするけど
出産までには困難な道のりがあることもわかります。
とはいえ、体外受精は有効な治療法なのだ!
日本は自然分娩、自然妊娠などに
こだわる傾向が強いです。
だから、体外受精を最後の手段と考えがち。
もちろん
体外受精をすれば必ず成功するわけではないけれど。
不妊の原因によっては体外受精が
もっとも有効な手段である場合が多いです。
だから、もし条件が揃い、体外受精を受けられる環境なら
ポジティブに考えていきたい治療法です。
体外受精をうけるメリット・デメリット
それでは、体外受精をうけるメリット・デメリットについて
チェケラッチョ、ハゲラッチョしてみよう!
体外受精のメリットはこれだ!
体外受精のメリットは・・・
- 痛みが少ない
- 体に負担をかけない方法もある
- 他の治療より妊娠率が高い
という他に、
- 本来卵管の中で行われる受精を確認できる
- 胚まで育てるのでそれまでの工程をカットできる
といったメリットがあります。
なので、以下のような問題を抱えている夫婦には
もってこいの治療法です。
- 卵管性不妊症:卵管閉塞や卵管欠損、卵子をキャッチする卵管采の癒着などで卵子がスムーズに卵管に入れない場合、卵管機能障害、卵管鏡下形成術の治療が適応外だったor無効だったなど。
- 免疫性不妊症:抗精子抗体(SI50)が陽性(10を超える)
- 子宮内膜症:重度の子宮内膜症で薬物療法や手術療法で効果が得られない
- 男性不妊:精子の濃度、運動率が低い、乏精子症、精子無力症、精子奇形な人工授精(AIH)では妊娠が難しい場合
- 原因不明不妊:原因がわからずタイミング法や人工授精では妊娠しなかった。
以前、原因不明不妊の多くがピックアプ障害?
なんて記事を書きました。
ピックアップ障害は、排卵した卵子を卵管采がうまく
キャッチできず卵管内に取り込めない状態です。
これじゃ、卵子さんと精子君が出会えません。
検査で確認することが困難なため
原因不明不妊さんの多くが抱えている問題なのでは?
と考えられています。
体外受精では、卵子さんと精子君が
必ず出会えるので、妊娠する可能性がぐっと高まる。
また、自力で卵子さんのとこへたどり着けない精子君の場合も
体外受精では確実に卵子さんと出会えます。
今まで不妊原因がわからなかった方も
体外受精をやることで、わかることもあるそうです。
これまで色々な治療法を試しても
妊娠しないときには、
妊娠率の低い方法をつづけるより、
体外受精を選択したほうがいい場合があります。
体外受精のデメリットは?
体外受精の一番のデメリットは
経済的負担が大きいこと。
補助金などもありますが
一般不妊治療(タイミング法・人工授精)に比べたら
圧倒的に高いっ!!!
(30万から70万)
それに加えて、体外受精をしても
必ず妊娠するかはわかりません。
ですから、体外受精をやりながら
- 何度チャレンジすればいいか?
- いつまで続けるのか?
このような不安を抱えることも少なくありません。
不妊原因が卵子の質や精子の状態、子宮環境に問題がある場合は
体外受精でもいい結果を得ることは困難になります
そして、もう一つ大きなデメリットが身体的負担です。
- 麻酔をかけて採卵
- 排卵誘発剤の副作用(卵巣刺激過剰症候群)
- 腹腔内内出血、腹膜炎
これを見て、
あれ?やっぱり身体的デメリットでかいわ・・・
こわっ・・・
って思った方は次項へどうぞ!
体外受精のリスクについて
先ほど、体外受精の身体的負担をお話ししましたが
体外受精を7回やった先輩ママいわく、
医師&病院選びとデメリットを知っておくことで
リスクを最小限におさえることができるとのこと!
そこで、
身体的なリスクをもう一度確認してみよう!
- 麻酔をかけて採卵
- 排卵誘発剤の副作用(卵巣刺激過剰症候群)
- 腹腔内内出血、腹膜炎
麻酔をかけて採卵は危険と紙一重
採卵と聞くと何が怖いかって、痛みですよね。
「採卵の痛みは不妊治療の中で3本の指に入る!」
と言います。
しかし、時代は流れ医療も進化し
現在では無麻酔で痛みの少ない採卵針を独自に開発し
使用している病院もあります。
麻酔=痛みがない
「できれば痛みなく治療したい・・・。」
そう思ってしまいますが、
麻酔の事故は非常に多いです。
(採卵時だけじゃなく分娩、その他の医療含め)
だから麻酔科医という存在が大切なんですけど、
麻酔=危険
リスクがあり常に危険と紙一重であることを
忘れないようにしましょう。
麻酔に不安がある方は、
- 麻酔科医がいる
- 腕が良く採卵テクニックがある医師
- 痛みを軽減する採卵針を使っている
といった病院を選ぶといいです。
先輩ママは痛みに弱く麻酔を使いました。
「子供が欲しければ採卵の痛みくらい我慢」
ってお姑さんに言われて辛かったそうです。
痛みには個人差があります。
同じ痛みでも我慢できる人もいれば
パニックを起こすほど苦手な方もいる。
麻酔は危険と隣り合わせではあるけど、無理をせず
自分に合った方法を医師と相談して選択していきましょう。
排卵誘発剤の副作用(卵巣刺激過剰症候)
体外受精では成熟した卵子を複数個採卵するため
排卵誘発剤を用いるのが一般的です。
複数の卵子を採卵して受精、
多くの胚を得れば、妊娠する確率が上がるからです。
移植しなかった胚は、凍結保存できます。
うまくいかなかった場合は再び採卵しなくても
凍結胚を移植すればオッケー。
で、この排卵誘発剤。
人工授精で使ったことがある方も多いかと思いますが
卵巣機能が高い場合は、過剰に卵巣が刺激されて
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こすことがあります。
誘発剤使うとき、
そういう説明聞きましたよね?
卵巣過剰症候群(OHSS)の症状に気づかず
重度になれば、卵巣肥大・腹水、胸水が溜まり
入院が必要になり、命にかかわることもあります。
しかも、このOHSSを引き起こすホルモン剤の量は
個人差があるので予測することが困難だと言われています。
だから、もし排卵誘発剤を使って
以下のような症状が現れた時は、速やかに医師に相談しましょう。
卵巣過剰刺激症候群の症状
- お腹が張る・ウエストがきついなどの腹部膨満
- 喉が渇き、尿が少ないor出ない
- 胃が痛い
- 食欲がない・吐き気がする
- 下腹部痛がある
- 呼吸が苦しい
- 体重が増加する
ちなみに、卵巣過剰刺激症候群とまではいかなくても
排卵誘発剤が合わず
- 吐き気
- 頭痛
- 胃痛
- 注射部位が赤く腫れる
などの副作用が出ることがあります。
この場合、医師に相談すれば注射の種類を変更するなどして
症状が軽減されることもあります。
「ちょっと不安」と思う症状があれば
すぐに医師に相談です。
また、
排卵誘発剤を長い期間投与し続けると
質のいい卵子が取れないことがあるそうです。
↓この本で知ったのですが・・・。
治療のため使っていた薬が
逆に妊娠を遠ざけてしまっているなんて・・・。
体外受精時に使う排卵誘発剤。
どの方法を選ぶかはその人の状況により異なりますが
現在、排卵誘発剤を使わず、
自然周期で採卵するクリニックも増えています。
腹腔内出血について
腹腔内出血は主に卵巣出血なのですが
採卵の時に卵巣内に針を刺すので多少、出血することがあります。
そのほとんどは自然に止血しますが
稀に血管の損傷などがあれば出血量が多量になり
輸血が必要になることも・・・。
(開腹手術する場合もある)
ただしとっても稀なことらしいですよ。
採卵後に
- 腹痛
- 気分が悪い
- 目の前が暗い
- 冷や汗がでる
↑こんな症状が出たらすぐに病院を受診しましょう。
卵巣の位置によっては、
膀胱の近くを刺すこともあります。
これにより、稀に膀胱内で出血を起こすこともあるんですって。
この場合、血尿が出るらしいので、
「なんじゃこりゃあああーーー!」
とパニックにならないよう心がけ、
採卵当日は尿の様子にも注意しましょう。
腹膜炎・骨盤内感染症について
採卵時の出血が腹腔内に流れると
腹膜炎を起こすことがあります。
↑これ友達がなりまして・・・。
採卵後、2日後に救急車で運ばれました。
ただの腹痛かな?と思っていたそうですが
痛みは徐々に激痛に変わり危険な状態でした。
友達の場合は血が腹腔内に流れたことが原因でしたが
これが細菌の場合もあるそうです。
採卵日前日から抗生剤を服用することもあるのですが
その抗生剤が効かない細菌が
腹腔内・骨盤内で感染を起こす
採卵後、数日たってから痛みが現れるそうなので
要注意です。
これってリスク?多胎妊娠
体外受精では、多胎妊娠の確率が上がります。
最近では、胚移植する際の個数は1個。
日本産婦人科学会の会告では、
- 35歳以上の場合
- 反復不成功の場合
は2個としています。
2個移植すると双子ちゃんになる可能性が高いし
稀に1個の胚から2つの胎児ができる一卵性双子ちゃんも
あります。
2個の胚移植で、三つ子ちゃんができることも
あるんですって。
赤ちゃんを望んでいる私たちにとって
一度に二人の、三人の子宝に恵まれるなんて
夢のような話ですが
多胎妊娠はかなりのリスクが伴います。
しかもそれが高齢の場合は
ママや赤ちゃんに命の危険があるため
体外受精のリスクとしてあげられます。
体外受精その他のリスク
まだあるのか?
そう思ってる方多いと思いますが、体外受精のリスクは
まだ続きます・・・。
- 血液製剤使用による感染症:胚を培養する培養液は病院によって様々です。培養液には胚の発育に必要なアルブミンという成分が含まれてます。もちろん安全が確認できているヒト血液から作られていますが、血液製剤がウィルスなどの存在を100%否定できないとのこと。
- 子宮外妊娠:子宮外妊娠は子宮以外の場所で胚が着床することです。自然妊娠でも1%の確率で発生するのですが、体外受精・顕微授精は2%程度起こる場合があるとのこと。卵管障害がある場合、確率が上がるそうですが、体外受精を行う場合、卵管障害を抱えている方が多いので確率が上がっているものと考えられています。
- 卵巣茎捻転:腹水が溜まった状態の卵巣が腫大すると骨盤内で浮いた状態になります。とても稀ですがそれが捻れて、血液が途絶え卵巣茎捻転が起こることがあるので注意!急激で強い腹痛には気を付けましょう!
体外受精は安全なのか?
ずらずらずらーと書いてきた体外受精のリスク。
あきらかにメリットより
リスクやデメリットの方が、
ボリューム多く感じますよね。
「やっぱり危ねえじゃねえか・・・体外受精」
と不安になったかもしれませんが。
自然妊娠が困難で
赤ちゃんが欲しいと願う夫婦にとっては
最強に有効でポジティブな治療法です。
それを選択するかしないかは夫婦の問題。
どんな薬・治療法にもリスクはあります。
リスクを知らずに受けるより
知った上で選択することが大事ですよね。
体外受精が安全か?
これは母体はもちろん、生まれてくる赤ちゃんに対しても
思うこと。
初の体外受精が行われてからまだ数十年です。
なので実は生まれてくるこの安全性についての長期予後は
不明なんですって。
ただし、病院の説明では、
先天異常のリスクは通常の妊娠と同様とのこと。
(病院によってはやや上昇しているという報告もある)
もともと、30歳を超えての妊娠は
年齢に伴い、妊娠・胎児におけるリスクが増加します。
体外受精によって染色体異常などを促進させるという
結論は得られていないそうです。
単純に言うと
まだわかってない
ってことですね。
で、顕微授精も同じ。
顕微授精の場合は、精子を選んで卵子に直接針をさして
受精を手助けするため、受精卵にどのような影響を与えるか
かなり意見が別れるとこです。
まだわかっていない。
どんなリスクがあるかわからないので
不妊原因が精子君にある場合を除いて
無理に顕微授精を選択するものかは、
よく夫婦で相談したいとこです。
もし安全性に不安があったり
万が一何かあった時に、治療のせいにしてしまいそうなら
もう一度よく考えてみる。
35歳を過ぎたら、自然妊娠であれ
染色体異常のリスクは上がるんです。
顕微授精しようか迷う時は
培養士さんや医師と夫婦で
納得いくまで相談して決めたいですね。
で、友達のお話なのですが、
「顕微授精じゃないと無理」って言われていた子が
転院したところ「体外受精」で妊娠。
病院によっても見解が違うこともあります。
気になる方はセカンドオピニオンを受けてみるのも手です。
体外受精説明会に行こう!
体外受精の疑問や不安を解決する一番の方法は
病院が行う体外受精説明会に参加すること!
医師や看護師が、スライドやボードを使って
詳しく説明をしてくれます。
そして、質問にもその場で答えてくれる。
もし、たくさんの人の中で質問する苦手なときは
説明会後、個別に相談に乗ってくれる場合が多いです。
すごく詳しく体外受精を知ることができるので
ぜひ参加しましょう!
で、それでも迷う時は
他の病院の説明会も受けてみましょう。
病院によって雰囲気や方法も変わるので
おすすめです。
おわりに
私が初めて体外受精を知った時
結婚相談所みたいだなと思いました。
出会いを提供することはできるけど
おつきあいして結婚まで行くかは二人の問題。
精子君と卵子さんを出会わせることはできるけど
受精&着床するかは操作できない。
何をもって「自然or不自然」と判断するかは
その人の自由だけど
不妊治療って
「妊娠の工程をサポート」する存在だと感じています。
命が宿るのを、医療で操ることなんてできないし
そんなものできたら、望んでいる人みんなが
赤ちゃんを授かれるはずですよね。
だから、自然とか不自然とか
そんなこと、どうでもいいぜ!
毎日、自己注射して
体質改善して
精神的にも戦って
そうやって前を向いて頑張っている全国の先輩たちの背中を見て
後に続け!
えいえいおーー!です。
というわけで、今日は体外受精のリスクについてでした!
いつも、最後まで読んでいただきありがとうございます。